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理沙は中学校に入学すると同時にこの川沿いにある建て売りの一軒家に越してきた。
父の夢見ていた家庭は、平凡な、一般的な幸せ。それはささやかに達成された。
朝起きると朝食が用意されている。
出勤するときは妻が家の前まで見送りをしてくれる。
可愛い娘がいる。
長期休暇には家族で遊びにいく。
しかしそんなありふれた生活の中で、理沙は幸せを感じることはなかった。裕福な生活を求めて、わがままを言いつづけた。それは母親も同じであった。不足のない生活の先には、更に、更にと求める欲望が待っていたのである。
いつしか「幸せ」に対する価値観に開きが生まれ、それが目に見えてくる。
ただ、両親は離れることはない。一度好きになった相手を嫌いになることなんて、そうそうできることではない。
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