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三時十五分に終鈴が鳴り、またみんな校門から出ていく。大きな道から細い道へ、それはまるで鮭の遡及のように、それぞれの道を歩む。と言っても理沙の場合そのスピードは走る、に近い。
理沙は授業が終わるとすぐ帰る、いわゆる「帰宅部」である。しかし理沙には夕方まで川を見つめるという時間がまだある。朝と違って時間に余裕があるので、本を読んだり、考え事をしたり、時には少し昼寝をする。この川原は土手になっていて、雑草が思い思いに生きている。土手はとても高く、昔から川が決壊するたびに土手を高くしていって今の高さになったと近所のお爺さんに聞いたことがあった。
理沙は今日もその土手に腰を下ろした。川は朝よりは少し落ち着いた流れに変わっていたが、まだ濁りは取れない。
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