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親父の今夜という言葉に俺は凍り付いた。
なんかおかしいと思ったんだよ。
家中の人間がバタバタしてたから。
そして、あっという間に神様が現われるという時刻になった。
親父にはお社に行けと言われたが、俺は屋根の上に上がり、お社が見える位置に座る。
毎日あのお社に通わされていたけど神様なんて見たこと無かったし。
屋敷の中からは音が消え、頭上には紅い月が姿を見せる。
「このご時世に・・神様とか」
信仰であって、実在するとは到底思えない。
お社を見つめるが変化は無い。
俺の周りにも無論誰も居ない。
ほっとした。
ゴロンと横になり月を見上げた時だった。
『逢瀬は部屋ではありませんでしたか?紅の君』
で。
でたああああああああ!!
声にならない叫び。
飛び起きて、後退りした。
銀色の長い髪に紅い瞳、紫色の着物。
象徴的な狐耳と尻尾。
親父の言った事は本当だった。
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