始まりの夜

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これがいつもの悪夢ならどんなにマシだったことか。  『紅の君?』 「申し訳ないですが、貴方の所に婿に行くつもりはありません。姉と兄達から選んでください」  そう言って、俺は頭を下げた。 一瞬だけ、悲しそうな表情を浮かべたのを俺は見てしまった。  『・・・・貴方以外考えられません』 「!!」 夜逃げするしかないよな・・・・・。逃げられるならば。 「そう言われても無理なものは無理!!」 死んだ方がましだとか、馬鹿な事を考えた俺。  屋根から飛び降りた。  墜ちていく間に意識が途切れて、もう悪夢すら見ないのだと思った。
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