*三章*運紗の憂鬱

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「あのですねぇ…、お兄ちゃんが…」 顔は残念そうにして話す。 「お兄さん…?あぁ、今朝隣にいらっしゃった…」 流石の洞察力に誉めたくもなったが気にしない事にする。 「はい…。お兄ちゃん、先輩の事…苦手みたいで…」 申し訳無さを醸し出し、上目使いで言う。 「ぇ…私、何かしましたか…?」 困った様に慌てる。 ふふ、ざまぁないわ…。 「さぁ…?生理的な問題では…?」 ショックを受けている様だ。 そりゃ、朝見ただけの人にそんだけ言われたら普通は落ち込むよねぇ…。ふふ、良い気味…。 「ですから、見掛けたらなるべく距離を取って下さい…。では、私はこれで失礼します。」 はい。とか何とか上の空で答えた。 ふふっ、これならしばらく大丈夫…。 お兄ちゃんに近付いたら次は… ……そうね、実力行使しかないわ…。        ***  如月家、夜。 「なぁ、運紗。聞いて来てくれたか…?」 お風呂上がりでタオルを首にかけ、テレビを見ながら不意に聞かれた。 「それがね…先輩、どうしてそんな事教えなきゃならないのです?帰って下さい!…って怒られたの…」 しゅんとして涙目で話す。 まぁ、全部嘘何だけど。嘘も方便だもん。 下を向き、ちょっと舌を出す。
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