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「あのですねぇ…、お兄ちゃんが…」
顔は残念そうにして話す。
「お兄さん…?あぁ、今朝隣にいらっしゃった…」
流石の洞察力に誉めたくもなったが気にしない事にする。
「はい…。お兄ちゃん、先輩の事…苦手みたいで…」
申し訳無さを醸し出し、上目使いで言う。
「ぇ…私、何かしましたか…?」
困った様に慌てる。
ふふ、ざまぁないわ…。
「さぁ…?生理的な問題では…?」
ショックを受けている様だ。
そりゃ、朝見ただけの人にそんだけ言われたら普通は落ち込むよねぇ…。ふふ、良い気味…。
「ですから、見掛けたらなるべく距離を取って下さい…。では、私はこれで失礼します。」
はい。とか何とか上の空で答えた。
ふふっ、これならしばらく大丈夫…。
お兄ちゃんに近付いたら次は…
……そうね、実力行使しかないわ…。
***
如月家、夜。
「なぁ、運紗。聞いて来てくれたか…?」
お風呂上がりでタオルを首にかけ、テレビを見ながら不意に聞かれた。
「それがね…先輩、どうしてそんな事教えなきゃならないのです?帰って下さい!…って怒られたの…」
しゅんとして涙目で話す。
まぁ、全部嘘何だけど。嘘も方便だもん。
下を向き、ちょっと舌を出す。
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