434人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
***
「お兄ちゃん♪」
運紗は長い栗色の髪をふわっとさせてにこにこと声を掛けて来た。
「ん、何?」
と、顔だけ運紗に向ける。
そういえば、何か知らないが、友人曰く、運紗は重度のブラコンらしい。
友人と遊んで数日後…学校。
吉村(よしむら)が意味深な顔で、
「お前ん家行った時な、帰り際に運紗ちゃんに゙お兄ちゃん虐めたらどうなるか分かるよね?"って黒い笑顔で言われたんだぜ、ありゃつえぇぜ。」
と耳打ちされた。
どうやらブラコンの上に最強説も流れていることが伺えた。
しかし僕は
「はは、まさか。」
と笑う事しか出来なかったのを覚えている。
……まさか…ね。
可愛い運紗がそんなはずは無い。
「…いちゃん、お兄ちゃん!聞いてる…?」
考えていると運紗が頬を膨らませて見上げてきた。
「あ…え、ごめん…何?」
すると半ば呆れた様に怒り、また説明してくれる。
「だからぁ、今日も一緒に学校行こ…?」
上目ずかいで見上げてくる。
断れないじゃないか…。まぁ、近いから良いけど。
「駄目…?」
小さく首を傾げ、涙目になる。
反則だろ…。
「……仕方ないなぁ…」
はぁ…とため息をついて微笑み、頭を優しく撫でる。
「えへへへへ…わーい♪」
最初のコメントを投稿しよう!