*二章*一目惚れの彼女

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 ***  綺麗…だ。 僕は唖然としてしまった。 視線が…吸い込まれる様に彼女の顔を見つめて離れ無かった。 「お兄…ちゃん…?」 か細い声でわなわなと震えながら顔を覗き込まれたが、そんなのは眼中に入らなかった。 神々しい…。 運紗とは可愛さが全くと言って良い程逆のイメージだ。 サラサラと輝く黒髪、儚げだが芯のある瞳…きめ細かで綺麗な白い肌。 何処も僕好みとしか言い様の無い容姿だった。 「………チッ…」 突如運紗が小さく舌打ちをした。 「運紗…?」 聞き間違えかと思い、彼女から目を外さず声をかける。 「なぁに?」 しかし、何時もと何も変わらないふわふわボイスが聞こえて来た。 「………あの人の名前が、知りたい」 思わずそう言ってしまった。 正直に言うならば、名前だけでなく、出来るだけ多くの、彼女の総てを。 「…………」 運紗は何も言わず、黙りこんでしまった。 「運紗?」 「………お兄ちゃん…」 視線を移すと、運紗はうつ向いていた。 「ん?何だ??」 何時もより暗い声に困惑する。 「…お…兄ちゃん…は、椎名…さん、の事…好き、なの…?」 小さく途切れ途切れに図星をつかれる。  好…き…?なのか…? 確かに、動悸や熱りが… 「……よ…」 「よ?」
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