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「…ッチ……」
ひっそりとだが、舌打ちせずにはいられなかった。
今までの努力はなんだったの…?
中学までは目を光らせ、高校は男子校に進学させた。
しかも登下校は一緒。女や危ない奴が居たら脅したり、やっつけたりでお兄ちゃんの視界に入んない様に仕向けたって言うのに…!
抜かったわ…
こんな事ならいっそ、無理矢理にでも運紗の物にしちゃえば良かった…
……アハッ…アハハ…!!邪魔してやるわ…。
運紗は、ユラリと虚ろな表情で歩き出し、口元だけで笑っていた。
「……椎名さんには…消えてもらわなきゃ…フフッ…アハハハハハッ!」
その声は、憎しみと妬みでよどんでいる様だった…。
***
お昼休み―2-C―
「椎名先輩っ!ちょっと良いですかぁ…?」
にこにこと猫撫で声を出しながら教室を覗き込む。
「…あず、一年生が呼んでる。」
「……ぁ、本当ですか…?美姫(みき)、先食べてて下さい…」
友人と思われる美姫という隣の席の女に声をかけられ、小さくお辞儀をしてから出て来た。
「…あら、朝の…?私に何の御用です…?」
朝の事を覚えているらしく、びっくりしながらも優しく聞いてくる。
……敵ながら天晴れね…。
けど、そんなのは今日まで。
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