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起きた状態そのままに台所へ向かい椅子へ腰かける。
今日の朝は目玉焼きにウインナー。無難なところだ。
とは言っても最近の朝食は全てこれだ。それでも飽きることはない。
腹をすかしている俺は朝飯をかき込む。目玉焼きの完熟は俺にしかわからない満足さがある。
毎朝弁当も作ってくれている母親に感謝しながらも朝飯を平らげた。
「裕大、茄子を残すな」
母親の低くドスの利いた声。ウインナーがまばゆいほど輝いていて茄子に気づかなかった。
「朝に茄子とは如何に、と城石裕大は抗議する」
「口答えするようなら弁当没収」
「いただきます」
俺は昔からの野菜嫌い。人参、玉葱、ピーマン、エトセトラ。想像するだけでもゾッとする。
朝からこのテンションじゃ今日一日乗り切れるか不安になってきた。
着慣れた制服に袖を通し、歯を磨いて顔を洗う。そしてすっからかんの鞄を持ち靴を履いた。
「んじゃ行ってくる」
満天の青空だった。
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