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ベッドから上半身を起こす。
いやはや、夢見が悪いというか、とりあえず最近の夢は現代を見習うかのように質が悪くなったな。
悪夢を見たからだろう。
パジャマは汗で濡れていた。
べっとりとまとわりつく感じが気持ち悪いことこの上ない。
「はぁっ――――」
たたでさえ真夏日で暑いこのシーズンに、こんな夢を見るのはある種の呪いだろうか。
いや、呪いだろう。
それも飛びっきり悪質な呪いだ。
姉という飛びっきりの、ね。
「……はぁっ――――」
ため息が出る。
ただただ虚無感だけが全身の力を奪い、着替えるのすらダルい。
「ため息ばっかりついてたら幸せが逃げちゃうぞ?」
――――そんな中、天使のような可愛い声が耳から入り心をくすぐった。
悪魔のように。
すこしフィルターを通したような声がしたあたり、発声元は――――
「人のベッドで何してんの? 涼狐ねぇ」
確実に俺の隣だろう。
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