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―白川雄平―
待ち合わせ場所に着くと…。
『お兄ちゃーん!』と、呼ぶ声がした。
振り返ると、萌が抱きついてきた。
雄平
「だから…。
いい加減、抱きつくのをやめろって…」
萌美
「えぇ~!?
仲良し兄妹でしょ~!?」
雄平
「はぁ…。
それで?どこに行くの?」
萌美
「ん~と…ね…。
決めてない!」
雄平
「じゃ…俺、帰るわ」
萌美
「いやいや、冗談だから」
苦笑いを浮かべていると、萌が腕を絡めてきた。
萌美
「レッツゴー!」
雄平
「くすくすっ。
萌は、いつもテンション高いね」
萌美
「お兄ちゃんとデートだもん♪」
雄平
「そうだね。
じゃあ、行こうか」
萌に「こっちこっち」と腕を引かれて歩き出した。
萌美
「服が、濡れてるよ?」
雄平
「あぁ…。
飲み物を零したんだよ」
萌美
「意外!」
雄平
「うるさいよ」
萌美
「てかさ、お兄ちゃんなんかいい事あった?」
雄平
「ん?別に?何もないけど。
なんで?」
萌美
「なんか機嫌いいし、いつもより優しいから」
雄平
「いつもと変わらないと思うけど。
それより、何が欲しいの?」
萌美
「あぁっ!誤魔化したー!!」
雄平
「誤魔化してないから。
行かないなら帰るよ?」
萌美
「!?
ダメ!本当に帰ろうとしないでよ~!」
ウィンドウショッピングやら…試着やらを繰り返し、特に何も買わないまま…。
二時間が経過した。
雄平
「…喉乾いたから、なんか買ってくる」
萌美
「あはは…。うん」
萌にそう言って、近くのコンビニへ向かった。
飲み物を買って、萌の待つ店へ向かう途中の事だった…。
『やめてください!』
女の子の叫び声が聞こえた。
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