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『離してください!』
今度は、ハッキリと聞こえた。
男は女の子の手を掴み、女の子は、拒絶し続けていた。
彩香
「私、友達を待ってるんです。
手を放して下さい。痛い!」
女の子と目があった気がした。
彩香
「あっ…」
雄平
「仕方ないか…」
バカな性格だと思いつつも女の子の傍に駆け寄った。
雄平
「ごめん。
ちょっと遅くなった。
待ったよね?」
彩香
「あっ…。
ううん…そんなに待ってないよ。だけど…」
チラッと男の方を見た後に、困ったような顔で俺の方を向いた。
雄平
「…俺の彼女に何か?」
女の子を掴んでいた手を放し、女の子を自分の後ろへ。
女の子は小さく震えていた。
《もう、大丈夫だから》
と、手に触れると…。
《ありがとう》
小さな声で囁き…。
俺の手を強く握った。
男と話をつけて、女の子に向き直った。
雄平
「大丈夫?」
彩香
「はい。
ありがとうございました。
怖かった…」
雄平
「友達は、すぐに来るの?」
彩香
「えっ!?」
雄平
「友達を待ってるんだよね?」
彩香
「あっ…はい。
すぐに来ると思います」
雄平
「じゃあ、友達が来るまで一緒にいるね」
彩香
「えっ…?
そんなの悪いですよ…」
雄平
「まぁ、気にしないでよ」
彩香
「…ありがとうございます」
雄平
「んっ…?」
視線を感じる。
視線を感じる方向…隣を見た。
すると、女の子がジッとこちらを見ていた。
雄平
「どうかした?」
彩香
「あの…!
さっきも助けてもらいましたよね」
雄平
「さっき?」
声
『お待たせー』
友香
「あれ?
さっきの人じゃない?」
雄平
「っと、来たみたいだね。
俺は、もう行くよ。
友達も待たせてるから。
あまり落ち込まないでね。それじゃ」
彩香
「あっ…」
女の子の頭を軽く撫でて、その場を後にした。
彩香
「行っちゃった…」
朋子
「どういう事!?
今の人って、さっき道を教えてくれた人だよね!?」
彩香
「…うん」
友香
「内緒で会ってたの?」
彩香
「‥‥‥」
朋子&友香
『サヤ?』
私は、二人に事情を説明した。
無理矢理連れて行かれそうになった事…そして、あの人に助けられた事。
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