贈り物

2/17
前へ
/596ページ
次へ
岡山家―― コンコンッ! 部屋がノックされた。 彩香 「は~い」 ヒカリ 「お姉ちゃん、居間に来て!」 妹のヒカリに呼ばれて、私は居間へと向かった。 ―居間― 彩香 「どうしたの?」 居間には両親もいた。 彩香父 「彩香は、修学旅行楽しかったんだよな?」 彩香 「えっ?うん」 修学旅行…。 一番最初に思い出すのは、あの人の顔。 ヒカリ 「お姉ちゃんが、運命の相手と出会ったんだもんねぇー!」 彩香 「‥‥‥」 ヒカリ 「本当の事でしょ?」 ヒカリの事は、放っておく事にした。 彩香 「どうして、今さら修学旅行の事なんて聞くの?」 彩香父 「今年のクリスマスは、何が欲しい?」 彩香 「何もいらないよ?」 ヒカリ 「ねっ?私が言った通りだったでしょ?」 彩香父 「あぁ。 じゃあ、今年は皆で旅行に行かないか?」 彩香 「えっ?旅行?」 彩香父 「どこか行きたい所はあるか? どこでもいいぞ」 彩香 「お父さんは?」 彩香父 「父さんが聞いてるんだ。 父さんも母さんも二人が行きたい所でいい」 彩香 「ヒカリは?」 ヒカリ 「‥‥‥」 ヒカリは無言で私を見て笑った。 ヒカリ 「人に聞かないで、自分の行きたい所を言えば?」 どういう意味だろう…。 ヒカリは、ニヤニヤし続けている…。 彩香 「私は…北海道に行きたいな…」 ヒカリ 「やっぱりね!」 彩香父 「‥‥‥」 お父さんがカバンの中から封筒を取り出した。 そして、私に無言で差し出した。 彩香 「!!! お父さん…お母さん…」 航空券だった…。 日付けは、12月24日…。 行き先は…… 札幌。 あの人と出逢った場所だった…。
/596ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1344人が本棚に入れています
本棚に追加