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「ねぇさま~!まってください」
ぬけるような青空の下、通りを駈けてゆく小さな影。
その視線の先には、誰もがふり返るちょっと変わったいでたちの娘が、柔らかくほほ笑んで立っている。
堀川に代々続く、老舗和菓子屋の養女、まりあだ。
奇妙な名と、日本人離れした顔立ち。
この時代には、まだまだ珍しい、クォーターである。
義弟の雅寿(マサトシ)は十違いの六歳だが、甘やかされて育ったせいか、泣き虫で、甘えん坊だ。
いつもまりあの後ろをくっついて歩く。
わからないことは、全部まりあに聞くものだから、日に何度も質問攻めに合う。
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