高杉晋作という男

7/9
前へ
/55ページ
次へ
きっとこの方も、異人がお嫌いなんだわ… 祖父がエゲレス人というのは、消すことも変えることもできない事実。 隠す必要はないし、まりあ自身、白い肌と蒼い瞳に誇りを感じていた。 「ぬしの姉上は、別嬪じゃのぅ。エゲレスのおなごは、さぞかし別嬪揃いなんじゃろ」 「!」 糸切り歯をのぞかせ、侍は言った。 「ぬしァ幸せもんじゃ。ニッポン人とエゲレス人のいいとこどりじゃな」 彼女は胸を震わせた。 かつて、こんなふうに言ってくれる人はいなかった。 「童、どんなことがあっても、姉上をお守りするんじゃぞ」 優しく頭を撫で、侍は言った。 「はい!」 ひとりの男として対等に接してくれたことが嬉しいようで、雅寿は満面の笑みを浮かべ、大きくうなづいた。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

270人が本棚に入れています
本棚に追加