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年若い旅の僧侶がある村に立ち寄った際、彼は村の長老達から手厚い歓迎を受け、それから相談を一つ受けたのでした。
曰く。
「『鬼』を、滅していただきたいのです。」
僧侶は唐突な話に面食らいながらも、長老に詳しい話を促しました。
「この村の奥には『生神様(イキガミサマ)』がおられるのです。」
この辺りは、まだ古い風習が残っていたのでした。
「片輪者の子供を一人、『生神様』として『お社』に住まわせると、その村は安泰である。」と、片輪者を『神の代理者』として尊重する。けれど、裏を返せば片輪者を幽閉させて人の目に触れさせないようにする。そんな、残酷なものだったのです。
「『生神様』がこの地に戻られたのが十五年前。…選ばれた子供は寺院に送られ『生神様』となってお戻りになるのは、お坊様もご存知でしょう。」
「ええ。寺院の秘術を施す、と聞いた事はあります。けれど、数年前にその術は封じられました。」
「存じております。『生神様』がおられるのは、この辺りではもうこの村だけでございますし。」
そう話す長老の声は微かに震え、どことなく脅えが混じっている事に僧侶は気付きました。
「どうかしましたか?」
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