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よく見ると、宴席に並んだ者達も顔を伏せ、脅えた様子を見せております。そして、僧侶はずっと感じていた違和感の正体に気付きました。
村の主だった者が揃っているという割りに、男の姿がほとんどないのです。長老を始め、居並ぶ男達は皆、壮年から老人。あとは十歳になるかならぬの少年から幼い子供達だけ。女達の中には妊婦もいるのに、これは随分謎めいたものでした。
「若い男の方の姿がありませんが…」
「『鬼』に、食われのですっ!」
僧侶の問い掛けに答えたのは、先程目についた妊婦でした。女の叫びにこの場にいた全員が震え上がりました。子供達が母親にしがみつくのが、僧侶の目に痛ましく映ります。
「……『鬼』は、新月の夜になると若い男達を惑わし、食らうのです。この村の男達は皆、食われてしまいました。それどころか、近くを通った旅人や近隣の村の者まで…今ここにいる子供達も成長すれば食われるのは火を見るより明らかです。どうぞ、お坊様っ。『鬼』を滅してくださいませっ。」
僧侶の衣をかき抱かんばかりに詰め寄って、長老は彼に哀願します。僧侶は、老人の肩を叩き落ち着かせました。
「その、『鬼』はどこにいるのですか?」
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