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「ヤバいな……」
青木が苦渋の表情を顔に浮かべて言った。彼の頬には机に突っ伏して寝ていたせいか、赤い跡が残っていた。
「ほんま馬鹿やな。あれただでさえ難しいねんから、寝てたら終わりやんか」
僕は青木に向かって笑いながら言う。
「いや、でもあれは起きとっても全然意味不明じゃない?マジ試験ヤバいわぁ……」
すると、僕の横からスルリと前に出てきて、朝日が言う。彼女はもう秋なのに薄着で寒そうな格好をしていた。彼女自身細いから余計に心配になる。
「英語学概論」という厄介な講義を終えて、部屋を出てすぐにあるトイレの前で喋っていた。トイレを越えて、自動ドアを開けばそこには秋と冬が混合した世界が待っている。
僕たちがここで話しているのは、佐伯のトイレの待ちもあるし、もう一つある……。これは僕だけの問題なんだけど。
朝日が一言二言たわいないことを口にした後、彼女は僕の腕を引っ張り、自動ドアのボタンを押した。少しいきなりだったので、僕は彼女の行動に驚きを隠せなかった。
青木が朝日のいきなりの行動に、唖然とした表情が自動ドアの向こうに映る。
朝日は僕を引っ張り、自動ドアから少し離れて、先ほどいた教室を気にしながら、コソコソと話し始めた。
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