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「ギャア!来るな触るな近寄るな!!もうイヤ!!!あたし帰る!!じゃね!バイ!!」
リオは般若の形相、脱兎の如く帰って行った。
気付けば、俺は部屋にポツン。
右手に持つゴキブリがカサカサ音をたてている。
もしかして、俺、やっちまった?
ちょっといい雰囲気になったその時、部屋の角に見つけた黒光りなコイツ。
叩き潰すのは可哀想だと、何気なく手を伸ばしたら、何故か捕獲成功しちまった。
キスの後、うっとりと目を開けたリオは、俺を見て、上記のような反応。
こりゃフラレるな・・・。
俺は右手のゴキブリを窓から投げた。
今度は捕まるなよ。
ゴキブリは青空の中の点になり、やがて消えた。
俺もリオの中にこんな感じで消えるのかな。
でも、それでいいのかもしれない。
もし、あの時あのゴキブリが出てこなかったら、たぶん、本番までいってただろう。
付き合って半年、そろそろ逃げられない。
そうなったら、俺のウィークポイントがバレてしまう。
俺の、この、びっくりするぐらい、極、極、極小の性器に・・・。
俺のため息も青空に消えた。
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