時 間 経 過

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「ふ…ふぁあっ」 永く甘いキスに、周りの空気さえもとろけそうになったとき、 「…ほら、座れ」 優人が先に離れた。 「…嫌です…」 「まだわからないのか? お前に拒否権はない」 「そんな… ひどいです…先輩…」 「そんな上目遣いしたところで状況は変わらないぞ」 「ひ…ひどい」 「…お前なあ… 本当に酷いのはなんだ? 言ってみろ、ほら」 優人が机に置かれた紙を 遥の目の前でペラペラと揺らす。 「ぅ…それは…」 「国語29点数学34点英語…」 「ぅわああああ! やめてくださいっ」 「はあ… 一体どうしたんだ? 学年では常にトップクラス だったお前が。」 そう。優人は、冬空の下 暖房も整った教室で 遥に勉強を教えようと 苦戦していたのだ。
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