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 「……牧原!さっさと来い!取りに来ないと個表貼り出すぞ!他の奴らも、もう少し静かにしろ!!」  さっきの発言から海斗と言い争いをしていた奈津子が、先生の今日一番である大声で呼ばれた。奈津子が慌てて取りに行く。  先生も、収集がつかなくなってから言っても遅いのに……。  「優!上がった!!」  自分の個表をチラリと覗き込んでから、奈津子が笑顔で駆け寄ってきた。  「すごい!どうだったの!?」  「173位!」  「……お前、何で俺のこと馬鹿にしたんだよ!」  自信満々に答える奈津子に、海斗が手首のスナップを効かせて突っ込んだ。  「うっせぇ!あたしは前より上がった。お前は下がった。あたしのがすげぇじゃん!」  「下から始まってんだから、上げるのも楽だろ!?俺のが負担重いんだよ!」  ギャーギャー言い合う二人に、溜息を吐いた。てか……皆こっち見て笑ってるし。  けれど、背後から異質な鋭い気配を感じた。振り向けば……窓枠に凭れる菅野の姿。周りを囲む男子は他のクラスメイトと同じように笑っている。しかし、彼は口元こそ笑っているものの、目は笑っていない。  「静かにしろ!お前ら早く帰りたいんじゃないのか?ほら、席着け!」  今度はいいタイミングで先生の声が響いた。声は次第に収まり皆渋々といった様子で席に着いていく。  「めんどいから今日は教室掃除いいや。んじゃ、気をつけー、礼、さようならー」  やる気の無い、だるそうな声色で挨拶をした後、さっさと教室を出て行った……。絡みやすいタイプだけど、教師としては……。  「じゃーな!優、牧原!」  「バイバーイ!」  「じゃーな」  荷物を整理している私達に、海斗が別れの挨拶をしてから、サッカー部の仲間と一緒に教室を出ていった。  「優ー!帰ろうぜー!」  「うん!」  奈津子が振り向いて、私の返事の後に立ち上がる。私もそれに倣って立ち上がり、二人で教室を出た。
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