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 「おはよう!母さん、父さん」  「よう、優一!オレには挨拶なしかよ」  返ってきたのは予想外の声。ひょっこりと父さんの横から顔を出した、どんぐり眼と寝癖頭の弟は、右手にトーストを持ちながらニヤニヤしている。父さんの後ろ……正面に居たから見えなかった。  「ゴメン。見えなかったの。それより優一って呼ばないでよ……。嫌だって言ってるでしょ?珍しく早起きしてると思ったら、相変わらず可愛くない」  「冗談だよ、優。お前も朝から失礼な奴だな!」  「ちょっと、朝から何なのよ。優も颯太も、早く朝ご飯食べなさい」  牛乳が入ったコップをテーブルに置いた母さんが、大きな目を吊り上げている姿を見て、可愛くない弟改め――颯太は食べかけのトーストを一口で食べ、サラダに手を伸ばした。  私も大人しく颯太の隣に座り、朝ご飯を食べることにする。  斜め前に座っている父さんと目が合った時、「あぁ、おはよう」と今思い出したかのように挨拶された。挨拶すれば、すぐに再び新聞に目を落とし、コーヒー啜っている。マイペースだな……。母さんとは一番相性が悪そうなタイプなのに……。  「ごちそうさま!優、お先ー!」 隣が席を立って、バタバタと慌ただしく部屋へ鞄を取りに行く。  「……今日の颯太、どうしたの?いつもは遅刻ギリギリなのに」  読んでいる新聞がテレビ欄まで到達した父さんに尋ねてみる。  「部活のミーティング……。あいつがサッカー以外のことで早起きすると思うか?……俺も、ご馳走様」  単純かつ正確な回答をくれた父さんも、コーヒーカップと新聞を置いてリビングから出ていった。
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