恋と初恋 ムスクと煙草

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 そっと呟いた。  どうしよう。修兄ちゃんの顔が見れない。でも、驚いているのは雰囲気でわかる。  時間が経つにつれて、心臓の音が大きくなってくる。怖い。微かな震えが全身を襲う。  永遠とも思える沈黙の後、修兄ちゃんは深く長い溜め息を吐き出して、 「……そっか」  とだけ言った。  それから、また沈黙。  烏龍茶の氷が溶ける音が響いた。 「……うん」  間を置いて、俺が答える。 「気付いたのは、いつ頃?」 「え?」  予想してなかった問いかけに、思わず顔を上げた。  修兄ちゃんが真っ直ぐに俺を見つめている。その瞳には嫌悪感なんか全く無くて。逆に俺の方が呆気にとられてしまった。 「あー。お前が友達を……その、そういう風に見たのって……」  目を泳がせながら言葉を選び選び、修兄ちゃんは言った。  精一杯気を使っているのがわかって、申し訳無い気持ちになってくる。 「……いつ頃からかな。自分でもよくわからないんだ。アイツとは一年の時から一緒でさ。いつの間にか……。うん。いつの間にか、そんな風に見てた」  涙を拭って答えていると、修兄ちゃんはティッシュ箱を差し出してきた。二、三枚取り出して思いっきり鼻をかむ。  なんだか、少しスッキリした。  
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