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「修兄ちゃん……も?」
「うん」
答えて、修兄ちゃんは涙を拭うように俺の瞼にキスをした。
「そんなことまで似るなんて。ずっと一緒に居過ぎたせいかな」
「まさか」
冗談めかして言う修兄ちゃんの言葉に、思わず笑みがこぼれる。それと同時に湧き上がる安心感。
「……だから、言うな。エーシ」
「え?」
「自分のこと、生まれて来なければ良かったのに……みたいにさ。もう言うな。思うな」
「…………」
「同じような人間がここにもいるんだ。そんなこと言ったら、失礼だろ。俺に」
「……うん」
小さく頷くと、修兄ちゃんは満足げに微笑んで、俺の頭をガシガシ撫でた。
「よーし。いい子だ」
「子供扱いして」
目尻の涙を拭って口を尖らせる俺に悪戯っぽい笑みを向けて、修兄ちゃんはもっと乱暴に頭を撫でた。
「頭撫でられるぐらいで拗ねるってトコが、ガーキーなーんーでーすー」
「あー! もう、やめろよなー!」
嬉しかった。
修兄ちゃんが自分と同類の生き物だってことが判明したのもそうだけど、それ以上に、本当のことを知っても変わらないでいてくれたことが、たまらなく嬉しかった。
「……キツいよな」
ひとしきりふざけた後、修兄ちゃんは真面目な声で言った。
俺は乱れた髪を直しながら、その言葉の意味を尋ねた。
「何が?」
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