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それから、俺達は少しの間黙り込んでいた。
不思議な連帯感みたいなのを感じる。
「告白、した?」
呟くように尋ねた。しばしの沈黙。その後で、修兄ちゃんは立ち上がって面倒臭そうに答えた。
「さぁな。どうだったかねー」
「えー」
「もう晩メシだな。ラーメンでも食いに行くか」
「あー、はぐらかした。俺はちゃんと言ったのに。ずりーの」
グダグダぼやく俺を無視して、修兄ちゃんは財布と車のキーを手に戸口に向かった。
「奢ってやるよ」
「え、マジ!?」
声を踊らせて跳ねるように駆け寄る。
現金な俺を見て、修兄ちゃんは呆れ顔で溜め息を漏らした。
「食ったら送ってくからな」
「えー。まだ大丈夫だって」
「ここからお前の家まで、車でも三十分以上かかるんだぞ? 遅くなると悪いだろ」
「泊めてくれないの? 俺、修兄ちゃんとだったらいっかなーって思ってんだけど」
悪戯っぽく笑っておどける俺に、修兄ちゃんは思いっきりデコピンをかました。
「っだ!!」
「バァカ。センセーは自分の生徒に手ェ出さないの。教育実習生の不祥事は学校のメーヨに関わっちゃうだろぉ?」
「冗談だよ。でも、泊まるくらいなら平気だって。男同士だし。幼馴染みだし。周りはどうも思わない……」
ジンジンする額を擦りながら涙目で言うと、修兄ちゃんは小さく舌打ちをして、
「……周りなんか、どうだっていいんだよ」
と呟いた。
それからすぐに踵を返して、ドスドスと不機嫌そうな足取りで玄関へ行ってしまった。
……俺、なんか変なこと言ったかな。
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