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修兄ちゃんオススメのラーメン屋でラーメンを食べた後、予定通り、俺は家に帰ることになった。
辺りはもう真っ暗で、流れていく街灯の明かりをぼんやりと眺めていた。
明日も学校か。
そんなことを考えていると、不意に修兄ちゃんが話しかけてきた。
「おばさんとおじさんに宜しく言っておいてくれな。今週の休みに顔出すから」
「ん」
窓から顔を逸らさずに俺は短く答えた。
すると、何を思ったか、修兄ちゃんは小さく息を吐いて、
「なんだ。まだ拗ねてんのか」
と、言った。仕方なく、俺は前を向き直って答える。
「違うよ」
「……にしては、不機嫌」
「うるさいな」
そう言うと、修兄ちゃんはクスクス笑った。
修兄ちゃんの言葉は微妙に当たってる。ただ違うのは、帰るのが嫌で不機嫌というより、もっと複雑な感じだということ。
もう少しだけ話していたいような、ただ一緒にいたいだけのような。この安心感を、少しでも長く共有していたい。
もっと聞いて欲しいことがある気がする。もっと、修兄ちゃんに話してもらいたいことがある気がする。
それが何なのかわからないけれど。
俺の胸の中は悶々としていた。
「……修兄ちゃん」
「んー?」
「修兄ちゃん、大学こっちだったんだね。帰って来たこと、どうして教えてくれなかったの」
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