キミ想イ

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 俺より先に食べ終えて、瀬田は何も言わずに教室を出て行った。    俺はというと、階段を上って屋上へ。  本当は、扉に鍵が掛かっていて屋上へは行けない。でも、実はこの鍵は壊れていて、コツがいるけど、ちょっとした手を使えば開く。  このことは、誰も知らない。俺も知らなかった。修兄ちゃんから教わるまでは。  一応、周囲を窺った後で、ギィッと重い扉を開けた。と、同時に、フワリと暖かな風が吹いて俺の髪を揺らす。  修兄ちゃんは、いた。柵にもたれて気怠く煙草をくゆらせている。  その姿が陽の光に溶け込みそうで、俺は目を細めた。 「修兄ちゃん」  近寄って声をかけると、修兄ちゃんは少し陰のある笑みをみせた。 「……また来たのか」 「悪い?」 「俺は別にいいけど。お前はいいのか?」 「何が」 「トモダチ」 「…………」  答えず、俺は修兄ちゃんの傍らに立って遠くを眺めた。  視界に広がるミニチュアの街と真っ青な空。白い雲がゆっくりと流れている。  微かに、校庭で遊んでいる奴らの声が聞こえてきた。きっと、あの中に瀬田もいるのだろう。 「ここんとこ、しょっちゅう俺のトコ来て。好きな奴放っといてどうすんの」 「……いいんだよ、別に」  瀬田の傍は、痛いから。  胸が痛くて苦しいから。  最近、耐えきれなくなりつつある。  
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