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こんなことは、しょっちゅうだ。
侮蔑と嘲笑。
そして、再確認する。思い知らされる。
自分が周囲と違うこと。こうやって、笑われる存在であること。
彼らにとって、この問題はフィクションだ。俺の中では、痛いくらいのリアルなのに。
このズレは、簡単には分かり合えないと思う。
彼らが嘲笑う限り。
俺が仮面をつけている限り。
「……俺、もう行っかなー」
さり気なく呟いて踵を返した。
もうこの話は限界だ。耐えられない。
「そういえば、斯波さぁ」
数歩歩いたところで呼ばれ、振り返る。
「お前、瀬田と何かあった?」
ドクン、と心臓が跳ねる。
動揺を隠すために、とっさに薄ら笑いを浮かべる。
「別にー? なんで?」
「お前ら最近別行動多いからさ。喧嘩でもしたのかなって、なんとなく。今日だってよ……」
「ンな訳ないじゃん。たまたまだよ。たまたま」
「ならいいけど。……瀬田がさ、最近なーんか機嫌悪ィんだ」
「オンナノコの日なんじゃねー? アイツー」
跳ねまくる心臓を無理矢理押さえ込んで、おちゃらけて言う。
三人が同時に吹き出す。
俺も笑う。
いつものことだ。
慣れている。
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