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好きなんだ。
「か、考え過ぎだってー。俺だって、お前のこと……親友だって思……」
「ヘラヘラ笑ってんじゃねーよ!! じゃぁ、なんで何も言わないんだ!? お前がなんか悩んでいることぐらい、わかってんだよ。こっちは!!」
その自分の感情に素直な所も。
それを後先考えずに、ストレートにぶつけてくる所も。
少し思い込みが激しい所も。
変に鋭い所も。
眩しいくらい真っ直ぐな所も。
全部。
好きなんだ。
「瀬田……」
瞳が揺らぐ。
心臓が張り裂けそうだ。涙が滲んでくる。
ダメだ。こんな時に泣いたら。
「……何、言ってんの? 悩みなんか、無いよ。全然。瀬田ってば、心配性ー」
無理矢理笑顔を作って、おどける。
そうしないと、涙が溢れてしまいそうだったから。
そのふざけた態度が瀬田を怒らせるってわかっていても。
そうするしか無かった。
「お前、こんな時にも……そうやって」
瀬田の落胆が手にとるようにわかる。
だって、言える訳無い。
お前のことが好きだなんて。
いつもいつも、ずっと想っていたなんて。
キスやそれ以上のこと。お前が女に対して抱く感情を。ケダモノじみた欲望を。
俺は、お前に抱いているなんて。
瀬田は思っていることがすぐ顔に出るから。言ってしまった後、どうなるか簡単に想像できる。
……怖いんだ。
笑うことしかできないくらい。
耳の奥で、いつかの嘲笑が響いた。
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