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無我夢中で走っていると、擦れ違いざまに思いっきり誰かとぶつかった。
「だっ!!」
ぼやけた視界の端に俺と同じ制服が見えた。
ヤバい。知ってる奴かも。
とっさにそう思って、よろけつつも無理矢理足を踏ん張って走った。
遠くに聞こえる怒声。
そんなのに構ってられなかった。
とにかく涙が溢れて。
溢れて。
溢れて。
どんなに拭っても止まらなくて、走っていないとその場にしゃがみ込んでしまいそうだったから。
嗚咽なのか息切れなのかわからないけど、すごく苦しい。
目の前が滲んで見えない。人や物にぶつからないようにするのがやっとだ。
苦しい。恥ずかしい。辛い。
死にたい。
色んな思いが渦巻いて叫びそうになる。
こんな自分じゃ、どうしようもない。
他人をごまかして、自分にも嘘をつく。
こんなんで、瀬田に何を伝えられるというんだ?
気がつくと、俺の足はある場所へと向かっていた。
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