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「またその話か。嫌だっつったろ?」
細く煙を吐き出して、修兄ちゃんは面倒臭そうに頭を掻いた。
「……修兄ちゃんは、俺のこと嫌い?」
「別に」
「じゃぁ、ちょっとでも好き?」
荒い息で畳みかける俺を、修兄ちゃんはウザったそうに見上げた。
「……かもな」
「なら」
「でも、答えは変わらない」
「なん……」
「お前が俺を好きじゃないから」
俺の言葉を遮って、修兄ちゃんはキッパリとそう言った。
ズシリと胸にきた。
鈍くて重い痛み。
「そ……んなこと無い。俺だって」
「本気で俺のこと、好きだって言えるのか?」
修兄ちゃんは試すように俺を見た。その視線が体に突き刺さる。
胸の奥がギュゥッとして、体が熱い。
「修兄ちゃんが、本気で好きになってくれるなら……」
そう答えると、修兄ちゃんは嘲るように笑った。
「なんだ、そりゃ」
「好きになってもらえたら、俺だって……好きになれる」
「ムリだね。そんな器用じゃないだろ、お前」
そう断言して、また煙草を吸った。
「なれるよ! ……もう、嫌なんだ」
また、視界が滲んできた。
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