215人が本棚に入れています
本棚に追加
「……アイツは、絶対俺を好きにはならない。告白したって……結局……」
ギリッと下唇を噛み締めて涙が流れるのを耐えたけど、やっぱりダメだった。
嗚咽が漏れて、上手く喋れない。
「す、好きになってくれない奴、好きでいんの……。もう、疲れたよ。ずっと、好きでいるだけで……それで良いなんて思ってたけど……。嘘だ」
涙を拭いながら話す俺を、修兄ちゃんは煙草の灰を落とすこと無く、ただ黙って見上げていた。
「俺だって、好きな奴に好きになってもらいたい!! ……でも、そんなの……奇跡でしかないじゃないか」
涙って、どうしてこんなに出るんだろう。体中の水分が全部流れてしまうようだ。
「言ったのか?」
不意に修兄ちゃんが尋ねてきた。
「え?」
「ソイツに……好きだって」
問われて、ブンブンと頭を左右に振った。勢い良すぎて、一瞬目眩がした。
目の前でチカチカと火花が散る。
「……言えなかった」
「ずっと黙ってるのか? 忘れられるのか? そんな状態で」
答えられず、俺は叱られてる子供みたいに俯いて、唇を噛み締めていた。
「お前は、どうしたいんだ?」
煙草をコンクリートに押しつけて、修兄ちゃんは溜め息混じりに言った。
「……わ、わかんない」
ゴシゴシ目を擦ってそう答えると、修兄ちゃんは呆れたように、今度は深い溜め息をついて呟いた。
「……バカな奴」
最初のコメントを投稿しよう!