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-グラド視点-
修行を終え、アスと家に帰る途中だった
アス「師匠~♪」
お気に入りの水色の魔道着を着た上機嫌のアスが俺に話し掛けてきた
グラド「どうした?」
アス「今日こそミルア姉さんに勝てるかな?」
魔法の試合の話しらしい
今のところ、アスの勝率は0%だ
それに、ミルアに比べると、アスの魔法の腕ではだいぶ劣る
グラド「無理だと思うぞ。」
俺は正直に自分の考えを即答した
アス「えぇ!?」
即答で無理と言われたせいかアスはがっかりしてしまった
こんなにがっかりされたらものすごい罪悪感を感じるんだが…
グラド「まぁ、あいつのがお前より年上だし、しかもエルフの血が半分流れてるんだ。だからお前より強くて当たり前なんだ。そう落ち込むな。それにお前魔法使いとしてはかなり優秀だ。もっと自信持て。」
とりあえず、がっかりしているアスを慰める
実際、アスは魔法の才能に恵まれている
しっかり育てれば宮廷魔道師や上級魔道将、帝国魔導長などの魔法のエキスパートを簡単に追い越す存在になることは間違いない
それほどの才能を持っている
アス「えへへ…ちょっと照れますけど嬉しいです。ちょっと自信つきました。やっぱり師匠すごいです!」
アスは目を輝かせながら俺に飛びついた
相変わらずめちゃくちゃ単純なやつだと、俺は呆れながらもちょっとからかってみたくなった
グラド「アスもまだまだ子供だな。」
アス「なっ!馬鹿にしないで下さい!僕はもう12歳ですよ!もう大人です!」
アスは俺から離れた
12って子供だろ、と呟いたがアスには聞こえなかったらしい
そういえば俺にも今のアスのように自分は大人だ!って言い張った時期があったな
アス「師匠。」
グラド「どうした?」
アス「いつも右腕にバンダナ付けてますけどなんでですか?」
アスは俺の右腕のバンダナを指差した
グラド「お気に入りだから。」
アス「ん~。何か怪しいです」
グラド「怪しくなんかない。それよりミルアと試合するんじゃないのか?」
アス「あ、そうだった」
アスは駆け足で家に向かった
グラド「ふぅ…。」
どうにかアスをごまかし、安堵のため息をついた
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