7人が本棚に入れています
本棚に追加
「そんなもの、なんで拾ってきたんだ?」
顔を上げると、そこには颯牙(ソウガ)の呆れ顔があった。
「…………なんとなく」
それしか答えは思い浮かばない。
「なんとなくかよ……」
今度はがっくりと肩を落としていた。
そして、
「まぁそんなコトだろーとは思ったよ」
と付け加えた。
思ってたなら肩を落とさなくてもいいのに、とは口には出さないでおいた。
むしろ、ガーデニングが趣味であったとしても、颯牙が手に持ってるジョウロの方が似合っていないと思った。
「てめ…なんか今いろいろと思ってくれたなぁ」
颯牙の表情はくるくると変わっていて、いつも見飽きない。
俺は颯牙が言う『そんなもの』を 大事に抱えて、だだっ広い庭を出た。
最初のコメントを投稿しよう!