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『あのね…あたしと一緒に暮らさない?』
『俺が…お前と?』
『うん!』
女は満面の笑みを浮かべて答えた。
『……』
男はしばらく考える事にした。
――――。
そしてようやく、
『…いや、ちょっと待て。』
と口を開いた。
『お前のとこで世話になったりしたら……』
『何?』
男は女をチラッと見ると背中を向け、ボソリと呟いた。
『俺は毎日大変な事になる気がする…犬、犬と言われるかもしんねぇし…また尻尾掴まれるかもしんねぇしな…』
すると、
『ボソボソと何言ってるの?』
女がいきなりニュッと顔を覗き込んできた。
『いや…別に…』
『んじゃあ行こっか!!』
女はガシっと男の手を掴むと、歩き出した。
『オイ!掴むな!!』
男の言う事が聞こえてないのか、女は手を離さずにズンズンと歩き続けていた。
が、
『あ…』
と言うと、いきなり足を止めて振り向いた。
『何だよ。』
思わず目が合ってしまい、男は目をそらした。
『名前何て言うの?』
ニッコリと笑みを浮かべてそう尋ねると、
『ケッ!誰が教えるか!!』
と、男は無愛想に答えた。
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