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『名前無いの?』
『あるに決まってるだろ~が!』
『じゃぁ教えて!!何て呼べばいいか分かんないし…』
『自分で考えろ、ば~か!』
そう言うと、男はまた女に背を向けた。
男の後ろからは、
『う~ん…』
と、考えてるような声がしている。
チラッと見ると、女は腕を組んで悩んでいた。
男は、空を見上げた。
空は既に暗く、星々が輝いていた。
男はその星々を見ながら、背後で未だに
『う~ん…』
と悩んでいる女の声を聞いて、
『フッ…変な女…だけど…面白ぇな…』
と、再び呟いた。
自然と、顔からは笑みがこぼれていた。
『分かった!!』
女は声を張り上げると、タタッと男の前に駆け寄った。
『分かったよ!あなたの名前!!』
またしても満面の笑みを浮かべながら。
男は浮かべていた笑みを消し、
『へぇ~。つか何でこっち来んだよ…その場で言やぁいいだろ…?』
と言うと、女から数歩離れた。
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