桜吹雪

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不意に風が強く吹いた。 あの時と同じように………。 俺は目をつぶらなかった。 桜の木はざわざわと揺れ、風はたくさんのピンク色の花びらを巻き上げ、そして降らした。 桜吹雪だ。 ひらひら……ひらひら……。 たくさんの花びらに俺は包まれた。 こうして桜は新しい葉を出す。 一片の迷いも無く花を散らして。 (ナッちゃん………) ひらひらと止めどなく舞い散る花びら。 それは春の終わりを告げる自然の贈り物。 風が止んだ。 花びらがはらはらと落ちてきた。 (ありがとう) 最後の1枚が地面に落ちた時、俺の携帯に、ナミはもういなかった。 全ては俺の心の中だけに………。
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