prologue

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「…え、」 轟く雷鳴 刹那的な光 「どうしたの、母さん、父さん…」 照らし出されるのは 黒い煙を放つ残骸 最早それは 人の形に非ず 「そんな所で寝てたら、風邪ひくよ?」 けれど少年は それらを母と言った 父と言った 「ねぇ…」 打ち付ける雨 肉の焼けた香り 焼け爛れた肌は 雨に打たれて凹んでいる 「ねぇってば…」 触れた感触は少年の知るそれではなく 指に纏わりつくぬるりとしたもの あぁ、どうかどうかどうか。 「答えてよ!!」 これが悪夢でありますように!! 愛されたいだけの少年 美しい少年 ただ、それだけだった少年の隣 俯き頬を濡らす少年の隣に 今 黒い悪魔が 舞い降りる
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