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「…貴方、誰ですか?」
訝しげな視線を投げかけ、愛季はうっすらと浮かびかけていた涙を押し留めてその青年を見やる。
其処に居たのは、明るいオレンジ色の髪を持つ青年だった。
「え、何っ? もしかして転校生かっ?」
「…はい」
人懐こそうな茶色い瞳。
爛々と輝く其れは今、好奇心をこれでもかと宿して目の前の愛季を見つめている。
「マジ? オレさっ、此処の生徒なんだ! 仲良くしよーな、えっと…」
「あ、香尋<カヒロ>愛季といいます」
「愛季! 宜しくな、愛季!!」
「あぁ、はい… で、貴方は「そーだ! 職員室に挨拶はしたか!?」
愛季の言葉を遮り、青年はまるで女子高生のようにきゃいきゃいと燥ぐ。
若干ついていけなくなりながらも、愛季は取り敢えず答えた。
「まだです… けど?」
「そっかそっか! ならオレが校内 案内してやるよ!! こっち来い!」
愛季の返答を聞かず、青年は歩き出す。
慌てる愛季の腕を掴んで、だ。
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