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愛季、明、冷の3人はセーターなどかさばる物を着込み、静と陽はスラリと、細身に見える程の薄着。
「馬鹿は風邪をひかないと言うので陽さんは大丈夫だと思いますが… 静さん、寒くないですか?」
「平気ですよ」
「ぅわっほーい!!」
はしゃぎまくる陽をよそに、漸く明を引き剥がした愛季は静に話し掛けた。
何気に非道いことを口にしたが、まぁ、愛季だから。
「凄いですね、僕は寒いです」
「そんなに着込んでいてもですか?」
「寒がりなのかもしれません… 暑いのは割と平気なんですけどね」
マフラーを口元まで引き上げながら、愛季はまたはぁと息を吐いた。
鼻の頭は真っ赤に染まり、どうやら相当寒がっているようだ。
静は自分の帽子を愛季に被せてやり、自分は雪の上に落ちていた陽の帽子を被った。
「ちょ、静兄貴? オレのは?」
「少し頭を冷やしなさい、この痴れ者が」
寒いということもあって、静の機嫌は最低である。
普段より2割増しな毒舌を吐き、静は空を見上げた。
予報が正しければ、今晩は雪である。
曇って重い空は、どんよりと灰色だった。
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