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「いっ、いらっしゃられまし!! 山茶花学園高等部、ご一行さまであられますね!?」
「? …あぁ」
上擦った声と、蒸気した頬に迎えられた愛季達。
旅館の中でも寒さに震える愛季は、依然八代の腕の中だ。
「まーなき、まだ寒いの? 館内は暖房利いてるみたいだよ?」
「ふぇ…?」
トロンと潤んだ瞳。
急な温度変化で染まった頬。
願い空しく、しんしんと降り出した雪に濡れた髪。
寒さのせいで震える声。
まったく、これで天然だと言うのだから、タチが悪い。
「眠い… です」
こしこしと目を擦る愛季の手を、手袋を外した静の手が包んだ。
「あまり擦るといけませんよ」
「ぅみゅ… おやすみなさい…」
「おいテメ、意識ねェ人間がどんだけ重いと思って…!!」
眠気のせいで、愛季の思考回路は完全にストップしている。
すぐ、八代の腕の中で寝息を立て始めた。
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