自分自身

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視線が鬱陶しくて堪らない。 誰も彼もが、ひとりで出歩く僕をあの人たちに報告すべきか悩んでいるような、生暖かい目で見てくる。 いい加減我慢の限界がきた僕は、薄着のままで外に出た。 冬場の北海道の空気が、しんしんと降る雪と共に、僕の体を冷やす。 きんと張り詰めた空気は雪が降っていても深く澄んで、仄かに光りながら道を示す街灯には虫いっぴき見当たらない。 人の目から離れるように、僕はどんどん歩いていった。 勿論、初めての地に宛てなど無く。 自分の好きな所で曲がって、自分が行きたい方に進んだ。 久しぶりに、黙って歩いた気がした。 此処に来るまでは、そんなの当たり前だったのに… 母さんも父さんも、僕とはあまり出掛けなかったし。 そういえば、母さんは死んだ次の日に買い物だと楽しそうにしていたっけ。 父さんも、やっと仕事が一段落ついたとか言って、趣味のゴルフの準備をしていたように記憶している。 時間ではまだ半年くらいしか経っていないのに、もう随分昔の事みたいだ。 それ程までに濃い毎日を過ごしたのか、と小さく溜め息を吐いた。
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