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独りきりの闇が、崩れた気がした。
真夏の太陽みたいに明るい橙色が、僕の心に飛び込んで…
土足のまま踏み荒らして、僕の手を掴んで引き出そうとする。
母さんと父さんはこの闇の中なのに、どうして僕だけまた光の下に?
「心配したぞ」
僕の手首を掴む手はとても暖かかった。
「冷え切ってんじゃねぇか…!!」
慌てて自分の上着を貸してくれるその筋張った指さえも、大切だと感じる。
だからこそ突き放さなくては。
僕は母さんや父さんと離れたりしない。
この闇の中から、出たりしない。
出られない。
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