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仕方なしに、愛季はタオルで髪を拭く。
かかる水滴を避けようともせず、八代は煙草を懐にしまう。
結局火が点かなかったそれは、くすぶったように八代の胸ポケットに収まる。
「なんであんなとこに居た?」
「陽さんが…皆を呼んでくる、と」
「馬鹿が」
びしょ濡れの上着を引っ剥がし、八代は愛季を大きなバスタオルで包んだ。
「風邪ひくだろ」
「…ごめんなさい」
叱られているのとは少し違う。
これは心配の表れなのだと、愛季は心の片隅で理解していた。
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