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冷も、静も、明も…
そして、陽も。
皆が皆、愛季を心配しているのだ。
ありったけの愛を、ありったけの優しさでくるんで。
惜しみなく、差し出してくれるのだ。
「…5人掛かりなんて、狡い」
「何か言ったか?」
乱暴に体を乾かされる愛季の呟きは、八代には届かない。
「10本の腕になんか引っ張られたら、誰だって逆らえる訳ない…」
すぅ、と流れた雫は 涙か否か。
それは、愛季すら知らない事実。
愛季すら知り得ない、真実。
少し大きな浴衣を羽織るように着、愛季は八代と並んで歩く。
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