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「オイコラ冷兄貴ィィイイ! 手ェ出すなっつったろーが!!」
「早すぎやしませんか」
せっかく心地良かったのに。
愛季は少し不満そうな顔をしながら、陽の腕の中へ収まった。
「愛季に早く会いたくってな! 猛ダッシュしてきたんだぜ!」
「はぁ… お気遣い有難うございます」
確かに、兄弟を連れて来たようだ。
…今は授業中ではなかろうか、と愛季は心の中で呟く。
陽の後ろには、陽と冷それぞれによく似通った2人が居た。
「冷兄貴と静兄貴は父さん似でさ、オレと明は母さん似なんだぜっ」
「初めまして、香尋さん。図書委員長の春日 静<シン>です。歳は君の4歳上の17歳」
「同じく初めまして。ボクは春日 明<メイ>、キミの1つ上で14歳。ちなみに風紀委員長やってるよ♪」
陽と冷に同じく、この2人も正に対照的であった。
静と名乗った方は生徒手帳に記された通りに制服を着ていて、艶やかな黒髪は眼鏡に掛かる程度の長さ。
反して明と名乗った方はだらりと着崩し、ハーフアップに結われた金髪からはピアスが覗いている。
「明さん、風紀委員長なのに着崩してるんですか?」
「うん。せっかくボクが基準なんだから、ボクが着たいように着るんだぁ」
そんな明の言葉を聞きながら、愛季は頭の中で整理した。
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