事実発覚

7/12
前へ
/272ページ
次へ
『何も聞いていないので?』 「…はい」 早鐘のような心臓を鎮め、ボクはその声に耳をすませた。 『では、お話しましょう。愛季は人を嫌わなくてはならないのです』 唐突な言葉。 『愛季の両親は最低な人間でした。子供の世話はせず、名前すらまともに考えていない…奨学金だって私利私欲の為に使ってましたし』 お構いなしに続く言葉を聞き逃さぬよう、ボクは黙った。 『それでも、愛季は決して両親を嫌いだと言わなかった。言い付けられるままに勉強をこなしました』 あぁ、愛季があんなに頭がいいのはそれが理由か。
/272ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3008人が本棚に入れています
本棚に追加