天使奪還

3/8
前へ
/272ページ
次へ
飄々と言ってのけた藍梨は、愛季を抱き上げて笑った。 いや、笑顔なんかじゃない。 顔に笑い顔を貼り付けただけの様な… どこか、恐怖を感じさせる笑みだ。 「愛季とおんなじ顔で、なんて笑い方だよ」 笑顔をひきつらせて、陽兄が呟いた。 こればっかりはボクも賛成かな。 「愛季君を返してもらおうか」 「ん~、どちらかと言うと愛季の所有者はオレだけどね」 愛季と寸分違わぬ筈の丸い瞳は、何故か猛禽類を思わせる。 「オレは香尋藍梨」 根本的な恐怖を煽るコイツが、愛季と血縁者だなんて信じがたい。  コイツ 「愛季の双子の兄貴だよ」
/272ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3008人が本棚に入れています
本棚に追加