3008人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねェ、アンタらになら分かるかな? 同じ顔に犯される気持ちってやつ」
悪びれもせずに笑うコイツは、本当に人間かと思う程。
「オレさ、すっげぇ興奮した。自分と同じ顔を犯すのに、さ」
まさに至福と言った表情を浮かべ、藍梨はボクらに近付いてくる。
「でも、ま… 今日の所はいいや。一旦店に戻んないと」
意外にもあっさりと愛季を返してきた藍梨は手を振って、暗い路地に入っていった。
「あ、次に愛季が起きたらさぁ、オレの事教えといてくんない? 金髪のアンタが知ってるって事は、時雨とも会った訳だしさ」
言葉は消えた。
姿も消えた。
ただ、眉を顰めて苦しそうに眠る愛季だけが、ボクの腕に残された。
最初のコメントを投稿しよう!