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うっすらと、愛季は目を開いた。
霞む視界に、自分を覗き込む5つの整った顔。
弱々しく微笑んでみるも、倒れる前の出来事が頭をよぎって、上手く口角が上がらない。
「僕、笑えてますか」
答えの出ている問いを投げかけ、愛季は布団を深く被る。
「思い出したんです」
その中で、唐突に声を出した。
「僕が6歳の時。藍梨が家を出た時の事」
反論無く静かに聞き入る5人を見てから、愛季はぽつぽつと話を始めた。
「藍梨が、僕を犯した時の事…」
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